「ねぇ、どこ行くの?」 「まぁ、行けば分かるさっ」 わたしと竜也は学校を出て、電車に乗り込んだ。 いつもと同じ電車で、いつもと同じ席。 深夏や優也は一緒じゃないけど、二人で電車に乗る事は珍しくない。 それなのに、何だか全然違う気がしてたまらない。 竜也に近い体の右半分は変に緊張して動きが鈍くなる。 いつもは口数の多い竜也も今日に限って一言もしゃべらない。 ガタンガタンと揺れる電車の音より、わたしのドキドキが竜也に聞こえてしまいそう。