「花澄、遅いって! 授業終わったら行くって言っただろ? 早くしろよ」 教科書をカバンに入れていたわたしの元に竜也がやってきた。 「ちょ、ちょっと待ってよ!」 本当、帰ることになると早いんだから。 授業中はぐっすり寝てたくせに……。 あの柔らかい寝顔を横目で見てたら、いつの間にか授業が終わってて、 帰り支度が遅れちゃった。 竜也があんな寝顔を見せるから……。 遅れたのは無防備な竜也のせい……そうしておこう。