「おい」

口の悪い言葉が耳に入り、振り向くと幼馴染の淳が立っていた。

「お前今日なんもないだろ?」

「なにその決めつけ。ないけどさ」

「んじゃ、放課後な」

「あーはいはい」

淳が部活を引退してから、毎日のようにこうやって淳はわたしと一緒に帰る約束をとりつけてくる。

淳と帰りたいっていう女の子は他にいるだろうに。
どうして私なんかと。

前にきけば、そういう女の子達を断る口実、だとか。

つまりは、私はそういう対象ではないということは明らか。

「つーか、お前はまたラーメン?」

「好きなんだもん、ラーメン」

「ふっ、ほんと変わんねえなっ」

……そういう対象じゃないってわかっているけれど。


この笑顔には、やっぱり敵わなくて。
私は……この幼馴染に、かなわない恋をしている。