「あげる」

「は?」

私は、淳に自分のブレザーのボタンを取り、一つだけ渡した。

「……なにこれ」

「だから、あげるって」

「……俺の欲しいわけ?」

「えーいらなーい」

「はあ?」

私は、ニッと悪戯っぽく笑って言った。




「私のこと、好きになったら、ボタンちょうだいよ」




その言葉に、淳は目を丸くして、立ち止まった。

「……それ、告白?」

「さあ?」

「……ふっ、気に入った。好きになったら、ね」

淳はボタンをポッケにしまうと、私の頭を軽く叩く。