「ねぇ、お母さん、何も見えない?」 「見えないも何も、咲しかいないじゃない。」 なるほど。 お母さんにはキューピッドは見えないんだ。 「まぁ、ワシは姉ちゃんのキューピッドやからな。やたらと見られて週刊誌に載ったら困るしな。」 「載らないわよ。」 私は、不思議がる母さんをよそにさっさとお茶のコップ2つを両手に持って自分の部屋に入った。