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「はぁあ……」

 
 あれから、もう三日も経ってしまった。

 盛大なため息が出てしまう。

 ため息ばっかりついてちゃ、ダメだってわかってるけど……。

 窓の外は暗くなっていて、遮るもののない空にはきらきらと星が輝いている。

 ゴロンと、ベッドの上で寝返りを打つ。

 沢山あるうちの一つ、花が刺繍された白いクッション。

 その上にいつもならいるはずの黒い猫は今はいない。

 手を伸ばして触れてみても、温もりなど感じることはできるはずもない。

 シュガー、どこ行っちゃったの?

 一日経っても、二日経っても、今日になってもシュガーたちは帰ってこない。

 ウェズリアを支配すると宣言した天力を持つ〈真の王者〉と名乗る男の尋問は、まだ続いていた。

 カカオが中心となり、男を調べているらしい。

 ルクレーシャに教わったんだけれど、本来天力と魔力の相性は最悪だという。

天力がプラスなら魔力はマイナス。

天は陽となり、魔は陰となる。

真反対で互いの力を打ち消してしまうのだ。

だから、あの男も、〈千年霊木〉の結界をうまくすり抜けられたんだ。

しかも、ただ天力持ってるだけではなくて、力が強くなければいけないんだけど、あの男は相当力が強かったのだろう。

男はなかなか口を割らないらしく、取り調べは難航し時間がかかっている。

カカオも王として本来なら参加するはずのない取り調べに同行している。

 国の一大事だから、仕方がないってわかってるけど……。

 なんとも言い尽くせない孤独感が、全身を覆う。

 シュガーがいない、ということに、存外あたしは堪えているらしかった。

 寂しいのだ。

 この世界に来てから常にそばにいてくれた半身のシュガーはいない。

 こんな心細いときに……彼にそばにいてほしい、なんて。


「言えないよ~……」