『俺は、多村元紀、六『すすすすみませんでしたぁああああ!!』
 再び未知の恐怖と遭遇した。
<拝啓、お母さん
 お母さんより先に命を絶つことをお許しください>
『おーい?』
『は!!』
 危ない危ない。
 脳内で母への手紙を…というか遺書の文章を考えてしまっていた。
 私はどこまでも変人だったらしい。
 その事実に軽くへこんだ。
『すみません、取り乱してしまいました』
『ん、あぁいや、平気だよ』 
 多村さんは、優しく笑い、土下座をして地に這いつくばっていた私と目線を合わせた。
『なぁ、新居?』
『なに?』
『一応…役職伝えるべきだよな?』
『え、えぇ』
『…土下座しないでくれよ?』
 何やら、私に伝えることがあるみたいで、新居さんが、私をゆっくりとたたせた。