『緊張しないで、こっちにおいで』
 お姉さんは優しく笑った。
 そして、またもや動揺する。
 私は、へこんだ。
『………(コクン)』
 小さく、本当に小さく私は頷いた。
『よし!行こ!』
 お姉さんは笑い、私の手を引っ張った。 どこへ行くのかついて来てみれば、私が手に持っているワイングラスの形をした金属のものがたくさん並んでいる、教室についた。
『これ、は?』
『うふふ、これはね
マウスピースって言って、唇にあてて振動させて音をだすんだよ』
『楽器…ですか?』
 たどたどしく、声が聞こえるかすらも心配になるくらい薄い声になってしまった。
『そうだよ!
入部当初のさとくんにそっくりだなぁー』
『っ………』
 また、また兄と比べてられた。
 私は、それに居心地の悪さを感じていた。