『えっと?』
『多村くん…どうするの?咲花ちゃん』
 何やら二人で話し合っている。
 怖い。
 学校をここまで怖いと、生まれて初めて思った。
『んー、じゃあとりあえず起きてもらっていい?』
 一言一言にビクビクしながらも、難なく立ち上がった。
『これ、さっき言った…』
『マウスピース…ですよね?振動させるとかなんとかの…』
『そうそう。
良く聞いてたね!偉いよ』
 新居さんは、机にズラリと並んでいるマウスピースを一つだけ手に取り、多村さんに渡した。
『ここからは、俺の専門分野な』
『は、はい。お願いいたします』
『じゃあ、咲花ちゃん頑張ってね』
『うぇ!?あ、う、ははははい!』
 新居さんは、私に手を振り、廊下へと出ていってしまった。
 お、お偉いさんと二人…。