「ラルカ」

「……」

「なぁ、返事をしてくれよ」

「……」

「俺を置いていくな……」

「……」

あたりは恐ろしいほど静まり返り、物音ひとつ聞こえない。

空気も冷えきり、男の吐息は白く霧になって消えた。

男は、すでに冷たくなっているその恋人を強く抱きしめた。

「どうして、どうしてラルカがこんなことに……っ」

硬く握りしめた拳は血の気が引き、きつく噛みしめた口元は血がにじんでいる。





男は懐から短剣を取りだした。

「ラルカ待ってろ、今いくからな」

そういうと、短剣をスッと自分の首元にもっていった。






ガキン!!