会場に早めに着きイスに座る。

「結局、一方的に隼人に助けてもらっただけで、何もできなかったな。」

そう呟いた。

「そんなことない!言ったろ?前に助けてもらったって。」

「でも、何か、私だけに都合の良いようになって、隼人に負担かけさせてばっかだし。」

そう言うと、会場に来る前の自分の不安がよみがえる。
急に黙ると、隼人が心配して顔を覗き込む。

「じゃあ、俺がひなたにお礼をもらうよ。」

そう言って、私の顔を見る。

「え?私今日何も、」

言いかけた時、

もう、視界には何も入っておらず、隼人の柔らかい唇が私の唇に触れる。

途端に花火が上がる。

「ありがと!」

隼人がまた、あの、無邪気で私の大好きな笑顔で言った。