しばらく歩くと祭りのある会場が見えてきた。

すると、隼人が

「あのさ、さっきみたいな奴とか来たら困るし、その、手、繋ご?」

と言った。恥ずかしかったけど、

「そ、そうだね。」

と言って、手を握り返した。

心臓がうるさい。ただでさえ、緊張してたのに。

そう思っていると、金魚すくい屋さんが見えた。

「あ!金魚すくいだ!」

過剰に反応してしまった私を見て、隼人はクスッと笑った。

「ひなたは昔と変わらず無邪気で、かわいいな。いいよ、行こ!」

そう言って手を引いてくれる隼人。
その言葉だけでもう充分なくらい心は満たされる。

「よし!頑張るぞ!」

でも、せっかく来たからには、この袋も満たして帰らないとね。
気合を入れて、金魚すくいを始める。


集中しただけあって、結果は、満足の4匹。

それから、機嫌よく隼人と一緒に花火会場へと向かう。

「隼人は金魚すくいしなくて良かったの?」

そう。隼人は結局見てたり応援してくれたりしただけで、実際に金魚すくいはやっていない。

「うん。ひなたが楽しそうにしてるの見るの楽しいし。」

「そ、そう?」

なんだか恥ずかしくなったのを誤魔化し、またうつむく。