記憶の片隅に―I don't forget you―

「中村亮(ナカムラリョウ)。みんなより二つ年上。以上」



……以上?なんだ、それ。


「亮、頼むよー。場が盛り下がるじゃん!
みんなごめんね。あいつ素っ気ないけど、悪い奴じゃないんだ」



両手を顔の前で合わせた安藤くんは、自分のことのように私たち三人に頭を下げた。


安藤くんは、根っから人の良さそうな感じだ。



それにしても、中村さんという人の自己紹介は、本当に素っ気ないものだった。


みんなより二つ年上ってことは、先輩なのかな?


でも、みんなタメ口だからそれは違うか……。


二浪(二年浪人)か二留(二年留年)してるってことかな? 


だからこんなに落ち着いているのか、冷めているのか……。 


行動を共にしている他の二人の雰囲気からは、だいぶかけ離れていた。