記憶の片隅に―I don't forget you―

「うん。私たちは東京から」


訛りのない流暢な日本語が飛び交う。


「東京かぁ。いいねぇ!俺たちは東京に近いけど、東京都民じゃねぇからな」


「どこなの?」


さっきまで黙っていた美香が話に加わった。 


「俺たちは、千葉と埼玉と神奈川。見事、東京都民から外れてるだろう?」



何がおかしいのか、シルバーのアクセサリーを身に付けたその男は、楽しそうに話す。 


東京って言ったって、私たち三人共、地方の出身。 

決して、自慢できるほどではないんだけどね。