記憶の片隅に―I don't forget you―

――と、突然、賑やかな二人組がレストハウスのドアを開けてドタドタとやってきた。 


見るからにチャラチャラした遊び人風の彼らは、席を探しているのか、人を探しているのか、何やら話している。


そして、再び歩き始めた。

――…えっ!?なんで?


入り口に立っていた彼らは、だんだんと私の座る席に近付いてくる。


やだ……何、この人たち。困るよ。違う席に行けばいいのに。


口に出さないものの、彼らの威圧感が私に緊張感を与える。


「亮(リョウ)、休憩、長すぎ!さっきの女の子たち、お前目当てだったから機嫌悪くなって、あのあと大変だったんだぞ!」



「そうだよ!亮は、ノリが悪すぎなんだよ。せっかくスキー場まで来たんだから羽目を外したらどうだ?」


「知らねぇよ。お前らが勝手にナンパしたんだろう?俺は一人で気楽に滑りたいんだよ。俺まで巻き込むな!」