記憶の片隅に―I don't forget you―

目が合い、慌ててテーブルのコーヒーに視線を戻した。 


……やだ、私ったら。めちゃくちゃ恥ずかしい。



初対面の人を見つめてたなんて!勘違いでもされたらどうしよう。 


スキー場だし、オトコを探しに来ているな、とでも思われたら心外だな。 


だって、気乗りしないスキー旅行に仕方なく参加しただけなんだから。 


温泉と美味しい料理に釣られて。



ズズズズ…っと残りのコーヒーを飲み干すと、立ち上がり、片手でギュッと潰した紙コップを丸いゴミ箱に捨てた。 


周りを見れば、カップルと家族連ればかり。


あーあ。やってらんないよ、ホントに。



頬杖をつき、再び、ゲレンデに目を移した。