【短編】ソーソー教の教祖様

そして、ドー。

「才能、ないんじゃないの?」

「うるせー! どうせオレはソが出せねーよ! 

もうやだー。サックスに戻りたいよー」

誰にともなく、カズオが悲しげに叫ぶ。

でも仕方がない。

サックスはバンドにもうひとりいる。

トランペットはいない。

トランペット吹きを追い出したのはカズオ。

ライブまであと一週間。

結果、カズオが責任をとってトランペット吹きになる。

これが今の現状。

「ちょっと貸して」

あたしはカズオからトランペットを受け取り、また口に当てた。

カズオがさっき吹いたように、マネをするように息を吐き出した。

すると、自分でも驚くような音が出た。

それも、いまだ聞いたことのない音。

ソの音だ。