【短編】ソーソー教の教祖様

「うそ? おまえなに? どーやったの?」

あたしより驚いたのだろう。

カズオが真剣な顔で詰め寄ってくる。

「もう一回。もう一回吹いてみろ」

言われるままに、あたしはトランペットを吹く。

ソーソーソー。

きれいなソの音が出た。

「おまえはなんなんだ? ソの神様か? ソの申し子か?」

半狂乱のカズオが暴れだす。

「やめてよ変なあだ名つけるの」

あたしは苦笑いしながら、ソーと吹き続けた。

カズオはがっくりと肩を落とし、

「負けた、アキに負けた。もうオレはダメだ。音楽をやる資格がない」

壁に向かって話しかけていた。

「へっへっへ」

あたしは不敵に笑いながら、今度はドを出してみようとトランペットをかまえた。

頭の中にドを思い浮かべながら息を吹き入れる。

けれど、トランペットはソーソーソーとソの音を刻む。