川上君が転校してきて一週間が経とうとしていた。


川上君は随分学校に慣れてきたみたいで、授業にも少しずつ追いついてきていた。


しかし、川上君の人気っぷりは当初と変わらず、休憩時間には相変わらず見学者の女子生徒たちで教室がごった返していた。


「相変わらずすごいねぇ」


亜耶が呆れたように言う。


あたしは川上君を取り囲んでいる女の子の方を見ないようにして、ため息をついた。


「最近ではファンクラブもできたみたいだね」


亜耶にそう言われて、あたしは力なく頷いた。


そうなのだ。


栞理をはじめとするクラスメートたちが川上君のファンクラブを立ち上げ、それはあっという間に全校生徒へと広まっていた。


一体何人、何十人川上君のファンがいるのかわからないくらいだ。


しかも、可愛い子たちばっかり。


あたしなんかが太刀打ちできるような状態ではなくなってしまった。


「菜月、大丈夫？」


無言でうなだれているあたしの顔を、亜耶が心配そうに覗き込む。