マンションを出たあたしと栞理は、近くの公園のベンチに座り、さっそく先輩のアドレスを確認することにした。


これで先輩の居場所を特定することができれば、亜耶が関係しているかどうかもわかってくる。


もし……もし、先輩が亜耶の後ろにいる暴力団に掴まっていたとしたら?


その時あたしはどうするだろう。


いつものように亜耶に笑いかけることができなくなるかもしれない。


「いいんだよね?」


個人情報を目の前にして固まっているあたしを見て、栞理がそう声をかけてきた。


「う、うん……」


あたしはなんとか頷く。


時間はかかるけれど、アドレスの一番上から順番に話を聞いて行くつもりだ。


すでに警察に話をしている人もいるだろうけれど、警察に言えない話だってあると思う。


今はそれにかけている。


「じゃぁ、電話するよ」


そう言い、栞理が一番最初の相手に電話をかけたのだった。