その最悪な考えは、このクラスのスピーカーだけが壊れていて、避難しろみたいな放送だったのかもしれない。
 私達が取り残されてしまっているのかもしれない。だとしたらもう助かる術はないのだろう。
 ただ淡々と『死』への準備をするだけになる。そんなの、今まで生きてきたのは何のためだったのかと考えたくなる。
 こんなことのために、今まで14年間生きてきた訳ではない。
 頭が必死に回転し、何だったのか理解しようとしていた。
 それでもなお分からない。
 考え込んでいた私に、ひとつの影が。
『香……奈?大丈夫?顔色よくないよ』
『…一美ちゃん…。大丈夫だよ。
 それより、さっきの放送って…私にはノイズがうるさくて何が終わっちゃうのか聞き取れなかったんだけど、何か聞き取れなかった?』
 彼女は、杉ノ原一美。私の無二の友達である。
 一美ちゃんら難しそうな顔をして口を開いた。
『ごめんね。何も聞き取れなかった…』
『そっか…ありがとう』