『……………??』
 目を開けて広がっていたその世界に、10人は絶句していた。
 そこは、もはや学校ではないのだ。
『あ……あぁ』
 そのくらいの言葉しか発することができない。
 やっぱりこの世界はどうかしている。学校どころか、何もないのだから。
 そう。
 ここは真っ白い空間。
 何もない。
 ただそこにあるのは、人生ゲームで目にする『マス』だけ。
『沙緒ちゃ…』
『わた…私…[5]だ…』
 平野さんが、そわそわしながら秋山さんに、話しかけていた。
 どうやら秋山さんは[5]だったらしく、『マス』を[5]歩進んだ。
 それが、運命だった。
『ザザ……秋山沙緒さんの踏んだマスにより、皆様の元にサイコロが来ます』
 スピーカー越しで、私達の運命を嘲笑うかのように男の気の抜けた声が聞こえた。
『秋山沙緒さん。マス目に書いてある文章をしっかりと聞こえるように読んでください』
 秋山さんは、肩をビクつかせ、震えながら口を開いた。