『よーい…スタート!!』
 男の声で皆は走り出した。
 負けられない。
 生き残らなければならない。
 逃げろ。逃げろ。逃げろ!
 逃げ切るんだ!!
 殺されるわけにはいかない。
 例え、クラスメートの皆が敵になろうとも。私は負けない。走り続けて見せるんだ。
 教室を駆け抜けとりあえず廊下にでてみたはいいものの、普段誰も来ないようなところに行ってはかえって殺されてしまうだろう。
 どこにしよう。
 クラスメートに殺されるのは本当にごめんだ。それだけはイヤだ。迎え入れられない『死』になってしまう。
『………』
 タッタッタッ
 どこからか、走る音が聞こえてくる。
 音の方向に銃を構える。
『香……奈』
 薄暗い廊下から顔を出したのは…。
『一美ちゃ…ん』
『皆…敵なん…だね』
 私が構えた銃を見ながら呟いた。
 私は、すぐに銃をおろし、笑顔をつくってみせた。