文化祭当日〜

私とりんは、教室(漫画喫茶)の前で呼び掛けをしていた。
の、ですが…

「…い、いらっしゃいませ〜。ま、漫画喫茶でーす…」

「ちょっと結衣!真面目にやってよー」

りんに珍しく怒られてしまった。

「ご、ごめん。だけどね⁈
この格好はないでしょう⁈いくら何でも!」

なんと私達は、制服にフリルや飾りを付けて、呼び掛けをさせられていた。
周りの人の目がきつい。

おまけに当日までこの格好とは知らされていなかったのだ。

「…もぉー!結衣はちょっとだけ他の所まわってきたら?みんなこんな感じだから‼︎」

りんにビシッと指をさされた。

「……はい…そうします。…」

私は返す言葉が出てこずに
フリルや飾りをとり、教室を出た。

私は人がたくさんいる廊下が
なんとなく嫌だったので、階段の踊り場の鏡の前に座った。


「はーあ…文化祭大変だなあ…」


そう呟いた瞬間、はしゃいでいるカップルが結衣の前を通った。

「はー。私も、あんな風に一緒にいてくれる人がいれば……。」

そういった瞬間…

ブーブーブー
(…ん。メール?りんからかな?)

知らないアドレスだ。

誰だろ…

ピッ

「一緒にいてくれる?
僕、玄関ホールの鏡にいるね。」

なにこれ…イタズラ?
……だとしたら怒ってやんないと!

私は、階段をドスドスと降りていった。


そして鏡の前に立って辺りを見回すと、

…誰もいなかった。

(…なんなの?呼びだしておいて!)

かなり機嫌が悪くなっていた。

私はイライラして地団駄を踏んでいた。

(もう帰ろ…)

と、歩きだした途端…



「僕ならいるよ」

後ろから声が聞こえた。

(!?)


声の聞こえた方を振り返ると、私と同い年くらいの男子が鏡の中に立っていた。