みんなの冷蔵庫(仮)2

「ねぇ……トキちゃんをひどい目に合わせたりしない?」


野崎ちよみは僕の肘に縋り付いた。

皮膚に食い込む意外と力強い指先が、彼への想いの深さを物語っている。


「しない。伝えたらすぐにトキオは出て行くだろうから、お前はまたここに戻ってこい」


少しでも安心させたくて、真っ直ぐに瞳を見つめ返した。


「戻っていいの?」


ちよみの顔色がさっと変わる。

驚きと不安がないまぜになって……嬉しそうな顔に。

僕の目にはそう見えた。