みんなの冷蔵庫(仮)2

「いいから。忘れ物を取りに誰もいない時間を見計らって屋敷に行ったら、知らない男がいた、と言え」


僕は言い含めるように出来るだけ優しく、穏やかな口調で言った。

彼女の気持ちと同じように、微かに震えだした長いまつ毛を見つめ、そらさない。

今まさに揺れている彼女の心を、こちらに引き寄せたい。

妙にくららと意気投合している風だし、あと一押しだと感じる。