シグマが僕と同じ状況になったらと思うと……いや、シグマなら僕のように怖気づかずに父親と普通に接するのかもしれない。

しかし、シグマから頼まれでもしない限り、調べたりはしたくない。

シグマを傷つけたくない。
なにより僕はシグマに嫌われたくはない。

シグマがうちに来た時に調べ尽くしたが、失踪後に父親に会った形跡は一切なかった。

むしろ、母親がひそかに夫を探していた形跡ならあった。おそらく金銭的な理由でそれは中断されていたが。

シグマを思うくららの気持ちも分からなくないのに、なぜ僕はもっとうまく伝えられなかったんだろう。