みんなの冷蔵庫(仮)2

「いつか……」


シグマがぽつりと呟いた。


「いつか何かの間違いでくららちゃんが振り向いてくれる瞬間があったら、それを逃したくないし」


私は小刻みに震えてしまう瞼を閉じた。


「無理矢理振り向いて貰おうと思ってないし、待ってるなんて言わないけど」


シグマは一生懸命自分の想いを言葉にしようと頑張っているように見えた。


「ただの幼なじみに戻るのは無理」


シグマがはっきりそう言い終わると、私は頷いた。

後ろからひんやりした夜風が吹き、私の髪を舞上げた。