みんなの冷蔵庫(仮)2

「ホットミルク飲むか?」


その言葉に頷こうと顔を上げると、京極の肩越しに俯くシグマの姿が見えた。


「シグマ……」


私の声に京極も後ろを振り返り、すぐにまた向き直った。


「鍵は開けておく」


京極がそう言い残し、三人は家の中に入って行った。

玄関前のオレンジ色の照明に優しく照らされながら、私とシグマ、二人だけ残された。


「くららちゃん俺……」


シグマが今にも泣き出しそうな顔で一歩こちらに踏み出した。

二人の距離は約三メートルだったのが、今二メートルになった。