くららは佐田をいつからどんな風に好きになったんだろう。

最初に僕を平手打ちした日、佐田がなだめたら落ち着いたようだった。

僕が様子を見に行った時には、すでに泣きはらした目を閉じてすやすやと寝息を立てていた。

佐田のスウェットの端を掴んだまま、子猫のようにベッドの上で丸くなって眠っていたくらら。



「私にしがみ付いたまま寝てしまったので、ベッドに運んだんです。よっぽど疲れたんでしょうね。無理もないです」

なんて言う佐田の顔には、くららの胸の内の感情に気付いた気配はなく。

佐田は昔から色恋沙汰だけは鈍い。
他は鋭いのに。