みんなの冷蔵庫(仮)2

「なんならもっと心臓に近いところを温めようか?」

「バカ」


京極の冗談めかして言う低すぎない声音に、自然と緊張が解ける。

本当に京極が胸を触るだなんて思わなかったけど、空いた右手を庇うように胸に持っていき、短い呼吸と共に肩を落とした。

やれやれって演技を、背中だけでもして見せたかった。


そんなことをしても、振りほどけない左手が微かに震えていること、気付かれてるのに。


「やる。何すればいい?」


覚悟を決め、少し上の位置にある元ナメクジの顔を見た。

真っ白な空間に、眩しいくらい真っ白な存在。

見ているだけで目が眩みそうだった。