みんなの冷蔵庫(仮)2

一本一本が水分を放つように潤うなまめかしい指が、ギリギリと音をたてるようにゆっくりまっすぐこちらに向かって伸びる。

なめらかな全体と不似合いな硬い動きが、言い表しようのない不安を増幅させる。


「くらら」


ふんわりと薄いスカーフに包まれたようにやさしい声が耳元でして、左手に温かいものがそっと触れた。


「無理はするな」


京極が私の後ろ――息が首筋にかかるくらいの距離――にいた。

下ろされたまま動けない私の左手に大きな左手を重ね、キュッキュッと軽く二回握りしめた。

それは、佐田さんと手を繋ぎ雨の中歩いたことを思い出させた。