みんなの冷蔵庫(仮)2

ファミレス横の曲がり角から出て来た女の人と、ほんの数十センチの距離で見つめ合っている。

二人を交互に見ると、野崎さんはかなり気まずそうな顔をして俯きがちになり、もう一人の女の人は野崎さんを指差して驚いた表情をしている。


スラッと細身で、暗闇に映える白いパンツスーツ姿。髪をきっちりアップにして、肩から大きなバッグを提げ、いかにも「できる女」て感じの人。


「あなた確か……」


女の人にしてはかなり低い声でそう言いながら、野崎さんを見つめ、私の方もチラッと見た。

目が合うと、逸らせないどころか動けなくなってしまいそうな程、目力のある人。

濃いまつげに縁取られた瞳は、まるで古い日本人形のように切れ長で感情が読み取れない。

肌の露出は全くといっていい程ないのに、匂い立つ色気。

一度見たら忘れられない顔だった。