みんなの冷蔵庫(仮)2

私は野崎さんの手元を覗き込んだ。
お札以外になにか黒いものを持っている。


「これ……発信機か盗聴器か、とにかくそういうのだよね?! 最悪!」


野崎さんはそういうと手のひらサイズのそれをぐっと握り締めた。


発信機?盗聴器?なんでそんなもの……

そしてすぐにさっき京極が言った言葉が頭に浮かぶ。

「野崎ちよみは犯人側の人間なんだぞ」


京極が仕掛けたのだろうか。

いや、京極でも佐田さんでも同じことだ。

野崎さんは完璧にスパイ扱いで、もしかしたら今こうして私と一緒にいることも、誘拐されたみたいな騒ぎになっているかもしれない。