みんなの冷蔵庫(仮)2

「だから、どうして?」


トキちゃんはハンガーをクローゼットに直すと、不思議そうに首を傾けた。


「どうしても」


私の中で、引きとめて欲しいって感情の方が勝っていたから、本当にバッグから鍵を取り出して付き返すことも、部屋を飛び出すこともできない。

いっそのこと諦めがつくように思いっきりフラれたい、とか思ってみたりもしたけど、本心はそんなの望んでなくて。

引き止めて。

お願い引き止めて。

そう願ってる。

でもさすがにそれを口にする時ではないことも分かってる。

トキちゃんはゆっくり私に近付いた。