みんなの冷蔵庫(仮)2

お別れ。

付き合ってもなかったから、そんなのいらないのかもしれないけど。

私はトキちゃんとずっと一緒にいれるものだと思っていたから。

心のどこかで不安はあったけど、一緒にいる時は満ち足りていたから。




タクシーだと、十分足らずでマンションの前に着いた。

なのに、往生際悪くエレベーターに乗らずに階段を使おうか、なんて考えてしまう自分がいて。

先延ばしにしたくないのに、終わらせたくなくて踏み込めない。

そんな葛藤が私をマンションのエントランスに足止めした。


「ちよみ?」


喉の上に何か張り付いたみたいな、でも私の大好きなかすれた低い声。

振り向けない。