みんなの冷蔵庫(仮)2

殴った瞬間に車が左右に揺れ、体が運転席側に傾き、広い車内とはいえ京極の肩に私の頭が触れそうな程近付いた。


「だから死にたいのかお前は」


耳のすぐ近くでいい声がする。

近いから、吐息と一緒に頭の中に吹き込まれたように勢いよく浸透してしまう。

どうして無駄に心地よくて色っぽい声なのよ。

フランス人が愛の言葉でも囁いたのかってくらい、優雅で甘美な響き。

私の中の細胞がいくつか騙されてヘロヘロになっている。

顔が熱くなるのを感じ、助手席のドアに擦り寄るように体を離す。