「時間やばいな そろそろ帰るかあ」 「…」 あかん また、あたしの中の“なにか”が言った でもどうすることもできんかった 「雪、握手してください」 唐突にそんなことを言った春人の目は すごく哀しそうで――― ”なによ!“ とか そんな冗談で返す言葉もでなかった 「うん…」 そうして握った春人の手は すごく温かかった 温かすぎて 泣きそうになったんだ そしてこの手を 離してはいけないと思った むしろ 離したくなかった