「何が普通に話しかけただよ」
聞き取れないほど小さくつぶやいた彼の言葉に、私は顔を上げる。
「全然普通じゃない。意識して普通にしてただけだっつーの」
「え…皇くん、どういうこと?」
私を抱きしめたままの彼は、少し言いよどむように間をおいてから口を開いた。
「正直今日顔合わせんのもためらった。いきなりキスして嫌われたんじゃねーかって思ったし」
皇くんも、意識してたんだ…。
そんな風に見えなかっただけにびっくりする。
「教室では避けられるし、これは完全に終わったなって思った」
「ご、ごめんなさい…」
「言っとくけど、俺はかなり傷ついたんだからな」
「うん…」
そうだよね、皇くんは何も悪くないのに
(そりゃいきなりキスなんてするのはあれだけど)
だけど何も言わずに避けていい理由になんてならない。



