「いらっしゃいませー。あら?沢本さんでよろしいでしょうか?」


迷わずカウンターまで直進する柚ちゃんに話しかけてきたスレンダーな店員さん。


当たり前だけどとってもオシャレ。


しかも、沢本さんって……


あの、また??


なんで私の預かり知らぬところで話が進んでるの?


進み過ぎじゃない?


「はい、沢本です。…というか、沢本の娘です。受取にまいりました。」


「はい、お母様から伺っております。用意も出来ております。」


柚ちゃんが淡々と店員さんとやり取りを交わしていく。


もう、私にも少しくらい話しておいてくれても…


今更だね、そうだね!!!


「お兄ちゃん。これは私は受取に来ただけ。お母さんが用意してくれたものだから。」


「……え、お母さん?なぜ?」


「…いや、入学祝いでしょ。」


なに、うちはみんな秘密主義なの。


驚かせたいの?


私がすごく微妙な顔をしていると、柚ちゃんは苦瓜を噛んだみたいな顔をした。


「いいのよ、おねえちゃんはただ喜んでいれば。お姉ちゃんが元気になったことがみんな嬉しいの。その生活を守るためにやってる事よ。ほら、さっさと行くよ。」


唐突に、言われた言葉には現実味が無かった。


柚ちゃんはさっさと前を歩いていってしまっている。



そっか。



柚ちゃん、私が今こうしていること、嫌がってるわけじゃないんだ。


「ありがとう…」



「なんかいった?」



「なんでもなーい」