「まぁまぁ。なにか事情があったのかもしれないし。私が教えちゃったけど。顔が怖いとメイクもできないわ。」


海澪さんがなだめるように言って、私の顔をのぞき込む。


まぁ確かに事情があったのかもしれない。


むー、気になりはするけどまぁいいか。今は知ってるわけだしね。


「さて、ウィッグ切り終えましたよ。少し段を入れてカジュアルに仕上げてみました。前髪は長めっていうことだったから少しM字っぽくしたけど、目に入らない?」


海澪さんの声で鏡を見る。


「おお……!すごい!さっきよりもさっぱりしてる!前髪も大丈夫です!ありがとうございます。」


「よかった。じゃあ次はメイクね。変身変身〜♪」


海澪さんすごく楽しそうだな。


っていうかメイク?


「私が頼んだの。海澪さんが今日はやってくれるから、ムービーとって自分でできるようにするのよ。」


いつの間にか隣に来ていた柚ちゃんが満足そうに頷きながらメイク道具をいじっている。


柚ちゃん、こんなに楽しそうな顔するんだ。


家ではあんまり見れないレアショットだな。


「動画は私が撮っておくから。お姉ちゃんはリラックスしてればいいよ。」


「はーい。柚ちゃん、ありがとね。色々準備してくれたんでしょ?」


いくらおばあちゃんのツテと、元々の知り合いがいたからって大変だったのには違いないはず。


出来すぎた妹で姉は少し寂しいくらいだ。


「そういうのいいから。明日から私の練習台になるしね。メイクの。」


「あ、そういう…。」


「しかも来週からはバッチリ騒がれてもらうしね!それで見返りは無しよ!」


今日は柚ちゃんがキラッキラしてるなぁ。


騒がれたくないなぁ。そもそもなんで騒がれるんだろう。


苦笑いしかできないや。