「うわぁー。かっこよくってそういう…」


「まぁ、ここから少し切るけどね。」


電車を乗り継いで1時間。私たちは目的地のショッピングモールに来ていた。


てっきり洋服屋さんに入ると思っていたんだけど。


柚ちゃんはショッピングモール内にある綺麗な美容室に真っ直ぐ向かい、躊躇なくドアを開けた。


そしてそのまま店員さんと思われる綺麗な人と親しげに話した後、私を指さしてなにやら注文した。


そして、数分後店員さんから
「ご注文のウィッグです。大丈夫、ちゃんと女性用…というか吟葉様用ですので」という言葉と共にウィッグを渡された。


それを試着して、鏡を見たところで冒頭に戻る。


「ねえ、柚ちゃん。店員さんが私用のウィッグって言ってたんだけど…」


「あぁ、ほら、オーダーしといたって言ったでしょ。あれ?言ったっけ?」


「いや、言ってないけど。」


「いや、かっこよくする!って言ったよね、私。言ってんじゃん。」


「えぇ……」


私が鏡の前で真剣にウィッグの前髪を弄りながら、真剣に質問しているのに、柚ちゃんといえば受付の椅子に座って足を組んでケータイを弄りながらテキトーに答える。


もうちょっと説明してよ…!


「まぁ、だから、それオーダーメイドだから。男装用女性用ウィッグお姉ちゃんVer.ってことだよ。わかった?着け心地いいでしょ。」


確かに前に貰ったウィッグよりもフィットしてる感じはする。


有難いけども、これ…


「ねぇ、前髪が短いんだけど。」


「前が長すぎたのよ。」


ジロりと睨まれる。


「これじゃあ女だってバレるよ?!」


「そうならないためにここに来たんでしょ。ほら、座って。もうすぐ海澪さん来るから。」


訳が分からないけど、海澪さんって言うのは多分さっきまで柚ちゃんと親しげに話していた店員さんだろう。


何であんなに親しげなんだ…。


人脈広いよね?広すぎだよね?ここ、家から1時間かかるんだよ?なんでそんな所の美容室の店員さんと面識があるの?


オーダーメイドなんて作ってくれるほど仲いいんでしょ?


柚ちゃんはいつも近くの美容室で髪切ってるのに。


ハテナがいっぱい浮かんでいるが、いちいち質問するな!と怒られそうなので黙っておく。