「んじゃいってくるから。お母さんは今日も仕事でしょ?頑張ってね。」


朝ごはん後、家を出る私たちの見送りにおばあちゃんとお母さんが玄関に来てくれた。


それに対してゆずちゃんは無表情で靴を履きながらそういった。


柚ちゃんの格好は、春先らしい、大きめの花柄のスカートに、ふわっとした白色でノースリーブのトップス、肩がレースで透けているデニム素材のアウターを合わせて女の子らしいけど締まっている。


そんな可愛らしい柚ちゃんを見て私は少し溜息をつきたくなっているんだけれど…。


「はいはい。夜までだから、おばあちゃんは家にいるし、早めに帰ってこれたら帰ってきてね。…まぁ、夜になっても吟ちゃんが柚ちゃんと一緒にいるなら大丈夫だと思うけど。」


にっこりと笑ってこっちを見るお母さん。


そりゃあ柚ちゃんが一人で歩いたらナンパでもされて大変だろうけどさ。


なに、私、男よけなの?ひどくない?


私の今の格好は少し余裕のある真っ白のワイシャツに、黒地のベストを合わせ、ジーンズを履いて少しアクセサリーでまとめた、


完全に、‘男の人’のコーデ。


柚ちゃん、本当に着せやがった。


「ねえ、本当にさ、柚ちゃんはなんでこんな服持ってるの。あと、お母さん、私夜までこの格好でいる気はないからね。着替えるからね。」


「あら?そうなの?じゃあなるべく早く帰ってきなさいね」


お母さんさ少し残念そうに頬に手を添える。


なんでだよ!!と心の中で叫ぶが口を結ぶだけで我慢する。


おばあちゃんは終始笑顔だし、なんなの、今日なんかあるっけ?


っていうか柚ちゃんは私の質問ガン無視だし!


オマケに靴履き終わってこっち睨んでる気がする。


遅いよお姉ちゃん、早くしてって目で言ってる。


絶対言ってる。


「わわっじゃあ、行ってくるから!」


慌てて用意されていた靴を履いて柚ちゃんを抜いて玄関を開ける。


「気をつけてかっこよくなってらっしゃい」


おばあちゃんがにっこりと笑ったまま、見送ってくれる。


ん…?かっこよく…?