その後もおばあちゃんと2人で話に花を咲かせていると、玄関の方からドアの開く音がした。


パタパタと二回に向かっていく足音が聞こえる。


「柚ちゃん帰ってきたね」


「そうねぇ」


おばあちゃんと話をする前に淹れたアイスコーヒーの氷がカランッと音を立てて崩れた。


話に夢中で忘れていたけれど、その氷も大分溶けてしまっている。


少し薄くなったアイスコーヒーに手を伸ばし、1口飲んでほっと息をついたところでゆずちゃんの足音が再び聞こえた。


「ただいまー」


おかえり、と声をかけると、間延びした返事が返ってきた。


春なのに暑すぎー、と言って冷蔵庫に直行する制服姿の柚ちゃんはとりあえず鞄だけ部屋に置いてきたらしい。


その頬は桜色に染まっている。


今日そんなに暑かったけなーと思いながら私がぼんやりと柚ちゃんを見ていたからか、柚ちゃんはこちらを見て怪訝そうに眉を潜めて「なに、」と聞いた。


こちらを向いたままガタリと音を立てて椅子に座る。



「いや。今朝急いでて聞けなかったけど、明日空けといてって言ってたでしょう?何かあるのかなと思って。あと、早く着替えなよ?」


今朝、私が時間ギリギリに家を出たため、話半分で途切れてしまっていたのを思い出し、その話を振る。


すると、柚ちゃんは何故かおばあちゃんの方を向いて、ニヤリとわらうと、口に手を添えてこちらを見た。


見ると、おばあちゃんは呆れたように柔らかく微笑みながらアイスコーヒーに目を落とし、息をついている。