________吟葉side



「その時に、貰ったのがその写真。」


先生は転んだ拍子に散らばってしまったものを丁寧に拾いながらその時、私のおばあちゃんにあった時の話を宝物を自慢するように語り、


全て拾い終えた先生はいまだに私の手の中にいるピピちゃんと、その写真を覗き込んで綺麗な笑顔を添えてそういった。


その顔はどこか朗らかに温かく、おばあちゃんを思い出させた。

「こんな前から……知ってくださっていたんですね。」


「うふふっストーカーみたいでしょ。気持ち悪かったらごめんなさいね」


ごめんなさい、なんて言いつつまつげを揺らしてニコニコと笑う先生。


それに、思い出した。


「いいえ、そんなこと思っていませんよ。嬉しいです。私、先生のことを話していたおばあちゃんの事、ぼんやりですけれど覚えていますよ。
とても、とても素敵な女の子が貴方の泳ぎを見て綺麗だって、感動したって、涙も流してたのよって教えてくれんです。」


そう、覚えてる。


やっと自分の練習レーンが貰えたにも関わらず、その時私はちょっと憂鬱な気持ちでプールサイドを歩いていたんだ。


水に入ってしまえば忘れてしまっていたような気もするけど、それでもやっぱり……。


そんな日の練習が終わった後、品のある落ち着いた笑顔を見せてくれるいつものおばあちゃんが、その時だけはどこか違っていたのが新鮮で、記憶に残っている。。


あの上品なおばあちゃんが、ちょっと大きめの声で興奮した様子を言葉の端から滲み出させていた。それは新鮮なことで、どうしたのか、と思って聞いてみたら私の話だった。


おばあちゃんのその話を聞いて、憂鬱だった気持ちは、さっぱり消えてなくなって、帰り道の真っ赤な夕日の下で「明日もいい天気で泳げるね!」なんて話しながら飛び跳ねていたんだ。


「嬉しかったです。私の泳ぎでも、誰かの気持ちを揺さぶることが出来るって……感動してもらえるんだって。
その実感を、その時初めて感じられたんです。その経験があったから私は今、ここにいます。


……先生だったんですね。本当に、ありがとう……ございました。」