「今日はカレーなのに、吟葉が帰ってこなかったから心配したのよー?」
イスに座った私の前に夜ご飯のカレーを置きながら、嬉しそうにお母さんが言った。
笑いながら心配したという発言は些か疑問だけど。
ていうか、カレーなのに、っていうところからなにかズレてない?
私別に特別カレーが好きなわけじゃないけど。
まぁ、いいや。お母さんのコミュニケーションだよね。
「ねぇ、競泳、またやってるんだって?」
競泳……。
「水泳、ね。」
「あら、どちらも変わらないじゃない。柚ちゃんに聞いたのよ。」
「え?」
柚ちゃんが言ったの……?
その話はしたくない、って言うように部屋に入っていってしまったのに。
「あと、イケメンにする!!って言ってたわ。ふふっ」
「イケメンて…私女だし。」
「あ、あなたが帰ってくるの遅いからおばあちゃんせっかく来てくれたのに寝ちゃったわよ?」
「えええっ!そっかぁ……まぁ明日話せばいいよね。」
久しぶりに会うからいろいろ話すことがあるのに。
私の水泳に関して一番理解してくれてるのもおばあちゃんだから、そのことも話したかったのに。
「柚ちゃんと話しててね。ウイッグとか、メガネとかいろいろ今日手続きしてくれたみたいよ?おばあちゃん、張り切ってたし。柚ちゃんも張り切ってたわ。」
「そっか。そんなに頑張ってもらってもイケメンにはなれないと思うけどねぇ。」
「女の子だものね。」
「ねー。」
話をしているうちに、カレーを食べ終えてしまった。
何だかんだ久しぶりのカレーで美味しかったな。
明日は部活だけして帰ってこよう。
おばあちゃんに話したいことがいっぱいある。

