校門に入って職員室に用があるというカズと別れる。



するとすぐ、



「お、雨辻じゃーん。…そんな睨むなって。人魚には会えたか?」



狙ったかのように担任が顔を出した。




その顔はいつものようにニヤニヤしている。




「やっぱり先生の差金だったのか。」




「気持ち、変わっただろ?」



先生はそう言って二ヤっと笑う。



すこぶる腹が立つな。



結局俺は今こいつの手の上で転がされてることになる。




でもあの泳ぎを見れたことに関しては少し感謝していなくもない。




「綺麗なもんですね。」




「あいつの泳ぎか?俺も見てぇな。」




「はい。って見たことないんですか。それなのに勧めたのかよ…」




相変わらずニヤニヤしている先生だったが急に真面目な顔つきになった。




「…興奮してるだろ?」




「…。いや、」



そうか、俺、興奮してたのか?



あの泳ぎを見て?



「あぁ、そうだな、興奮してるかも。」




俺がそうつぶやくと、先生は満足そうに頷きながら



「そうか。まぁゆっくり考えるといい。」と言った。






「あ、そういえば、今更ですけど昨日の人は誰なんですか。顔見えなかった…。」



俺がそう問うと、先生はまたニヤッとして



「あー。えっと、なんて言えばいいかなぁ。

あ!人魚姫とでも言っておこう、とっても優秀な人魚姫!」



「…いや、そういうんじゃなくて、何年何組なんて名前かって聞いてんだよ。」



優秀な人魚姫って…



「悪いがそれは言えない!知らなくていいこともあるんだよ。」



「ハァ。」


コイツにこれ以上聞いても無駄だな。