目を離すことができなかった。


ただ、見つめることしかできなかった。



「……………。」




水中を泳ぐ彼女は優雅で。



自由で。





饒舌し難いほど綺麗。



薄暗い月明かりのもとで輝く水面下で、幻想的なまでに。



まるで人魚のように。



まるで水が彼女を受け入れて、歓迎しているかのように。


顔は見えないのにとんでもなく気持ちよさそうに泳いでいることがわかる。


あの人は今、どんな顔をしているのだろうか。


俺の表情はどんなものだろうか。



……多分、惚け面だな。















もう、なんだかなぁ。






「なんで、…………」











____胸が痛いんだろう。





____泳ぎたいのか?




____あんなに、嫌いになったのに、また?





「プールを見ても何も変わらない、か………………。俺が言ったんだよな。
……………………あぁ、変わったかも。野郎、わざと来させたの確定じゃねーか。」


俺は鍵をとって、廊下に出て、頭を抱えた。


考えがまとまらない。