「先生声、滅茶苦茶響きますからね。ここから遠い女子更衣室まで聞こえますよ。」



背後から突然透き通るようなきれいな声が響いてきた。



振り向いて姿を確認する。



すごく美人!


なんで水泳やってるのにそんなにきれいな黒髪なの?!


背丈は160㎝ちょっと。


スクール水着が似合う華奢な身体。


全体的に守りたくなるような美人。


「あれ?新入部員?」


少しして漆黒の瞳が私のことを捉える。


そしてこてんと頭を傾ける。


かわいい!


「あ、あの、マネージャー希望の一年沢本 吟です。よろしくお願いします。」



「行儀がいいわね!私は岸本 美波_キシモト ミナミ_2年よ。よろしくね。」



優しそうな人でよかった!!


唯一の女子部員だし、仲良くしたいけど…。



男ってことになってるからなぁ…。



難しいかも。



「あら?あなた隠れイケメン?眼鏡と前髪で隠れちゃって地味に見えるけどイケメン!」



下から覗きこまれて少し慌てる。


女ってばれてないみたい。


よかった。


でも、イケメンって。私女だし!!


「いや、いやいやいや!ないです!」



「お?確かによく見ると…。」



部長まで!!


何を言い出すんだこの人たちは!!


「まぁまぁ、そのへんにしてやれ。」


私のことを女だと九重先生から聞いている先生が助けてくれてる。ってことであってるよね?



はぁ、なんか疲れた。



「んー。自己紹介も済んじまったなぁ。あ、雅臣は?」



かったるそうに先生が呟く。


もう一人の人か。


「さっき呼びにいったら居なかったんですよ。」


「…。なんですか。」



「「雅臣!!」」


さっきからひっそりと登場するなこの人たち…。



「相澤 雅臣。宜しく。吟。」



「え、あ、よろしくお願いします。」



私、自己紹介してないのになぜ知ってるんだ…。



不思議な人だなぁ。



「お前どこにいたんだよ?」


部長が怪訝そうな顔で相澤さんに聞く。


「どこも何も。最初からプールの中にいた。」



「えっ。まじかよ…。てか勝手に泳ぐな!!」



「悪い…。つい。春休み明けて初めてだったから。」



あ、相澤さんは水泳が好きなんだなぁ。



不思議な人だけど、悪い人じゃなさそう。