「ところで。私音楽教えてるんだけどね?実は水泳部の副顧問でもあるの。
…事情は聞いているわ。でも、まだやりたいんでしょ?あきらめたくないんじゃない?好きなものはそんなに簡単にやめられないわよ。
…だから。マネージャーにならない?」
マネー…ジャー…?
「お、男がですか?」
「ええ。マネージャーいないし。部活が終わったらプールは自由に使っていいわ。顧問の先生にも、理事長にも許可はとってある。部活が終わってからだったら生徒も来ない。もちろん、男子もね。」
そんな美味しい話があっていいの?
無理いって男装してきている上に、水泳もできるの?
誰にも…見られない場所があるの?
「本当に…いいんですか?」
大好きな水泳。
それだけでいい、私がしたいこと。
競泳じゃない、縛られない。
誰にも。何にも。
「もちろんよ。ただ、1つだけ。条件」
条件…?
「たまに、見にいってもいいかしら?」
「練習じゃないですよ。私のは。競わないですよ、誰とも。」
水の中だけは、自由でいたい。
「ええ、分かってる。それでも、ファンだから。」
切なそうに儚く、先生は笑った。
「わかりました。見てて面白いものではないと思いますけど。」
素直じゃないな。私。
憎まれ口ばっかりだ。
照れ臭くて…しょうがないよ。
「ありがとう。」
その笑顔に、やっぱりテンパってしまった。

